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2026年1月16日金曜日

2016年12月30日金曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復を終えて




1852年製PAPE コンソールピアノ
半年間かけて行ってきた修復を終え、無事納品することができました。
このピアノは、アンティークショップで未修復のものを購入された方が私に修復を依頼してくださったものでした。
何軒かのピアノ屋さんやピアノ工房に相談しても、このピアノは修復不可能、別のピアノを買った方が良い、と言われたそうですが、このピアノに思い入れの強いお客様は諦めずに、私のところへご連絡くださいました。
修復不可能、と言われるのは無理もないと思います。私ももしこのピアノを2年前に見に行っていたら、同じように答えたでしょう。
このピアノは非常に特殊な構造をしたものですが、ちょうど昨年から今年にかけて、同じタイプの1844年製PAPE コンソールピアノを修復した経験があったため、この仕事を引き受ける気持ちになりました。
ピアノを迎えた時の記事:

1844年製のコンソールピアノの経験から、このピアノの構造的な弱点や老いた木の体力の限界などを感じていましたので、それらをお話しした上で、完璧は無理でも出来る限りの修復をするというお約束で始めた修復でした。
特にこのピアノの場合は、響板の傷みが激しく、割れや剥がれ、虫喰いがかなり進んでいましたので、その部分が心配でした。
実際に修復を始め、解体してみると、その心配は倍増しました。
想像以上に響板が傷んでしまっていました。
一つ一つ丁寧に剥がれを接着し、割れを埋め木しましたが、果たしてこの響板で音が鳴るのかな?という心配はいつもありました。
やはりお客様に、このピアノはもう寿命が尽きました、と言うべきだっただろうか、
多額の修復費を払って直したのに音が良く鳴らないピアノを受け取ったら、お客様はがっかりするだろう、
などと、音が出る状態になるまで、心配は続きました。
また響板やケースの木の激しい老化を知って私は、弦の張力を下げなければなりませんでした。
新しく弦を張る時に計算してどの太さの弦を張るかを決めるのですが、張力を下げるということは音量が減ることにつながりますので、果たしてどのくらい下げるべきかは、非常に悩むところです。
今後なるべく長くピアノが生きられるように、無理の少ないように張力を下げることは絶対に必要だと思いましたが、全然鳴らないピアノになってしまったら困ります。
また高い張力をかけて音量の出る立派なピアノに仕上がったとしても、老化した木に無理がかかり、短期間しか保てなかったら、修復の意味がありません。
張弦は、失敗してもやり直しが出来ないので、とても難しい判断でした。

そんなこんなで、初めて音が出る状態になった時は、想像以上に美しい音が出たことに感動し、また安心しました。
確かに音量は少ないです。でも響きはとても豊かです。
こんなに傷んだ響板でも豊かな響きを持っているということに、驚きました。
老化はしたけれど、まだまだ木は死んではいなかったのです。

修復が完成し、普通に弾ける状態になった時、また新たな驚きと感激を覚えました。
あまりにも優しく心地よい音色に、とても癒されるのです。
私が今までに修復してきたピアノの中で一番優しい音だと思いました。
大音量は出ません。でも表現力も音楽性も持っています。何より優しさは最高級です。
このピアノを修復して良かった、と思えました。

もちろん全てのピアニストに満足して弾いてもらえるピアノではありません。
用途は限られています。でも決定的な個性を備えています。
持ち主のお客様はそれをよく理解してくださり、ピアノにとても満足してくださいました。
これからも末長く可愛がってくださることでしょう。
それが一番大切なことで、一番嬉しいことで、私の仕事はこういうところにあるのだということを、私は感じました。

この修復の経験は、私に多くのことを学ばせてくれました。
私の中に新しい修復の考え方が入ってきました。
私事ですが、家庭では親の介護を通して、人が老いるということについて日々考えざるを得ません。
同時にピアノの修復を通しては、木の老いを目の当たりにします。
私の中で、それらがつながってきています。
老いを否定するのではなく受け入れ、必要な手助けを無理なく施すことができれば、より幸せな余生を送ることができると思います。

人の場合も木の場合も、私にとって簡単ではありませんが、自分のライフワークと認識した今、今後ともこの方向をより深め、進歩していきたいと思っています。

今年もまもなく終わります。
様々な人やピアノとの出会いに感謝しています。
ありがとうございました。
みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。

2016年12月27日火曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音8(最終回)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音を聴きながら修復過程の写真を見られるよう、編集しました。
このビデオは、一生懸命修復してきた私の自己満足ですが、
ピアノへの愛情と感謝を込めて作りました。
ご興味のある方はどうぞご覧ください。






2016年12月24日土曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音7(修復前の音との比較)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音をお聴きください。
今回は上手なピアニストさんに弾いていただく機会がありませんでしたので、
私の拙い演奏で申し訳ないのですが、
音色や雰囲気を感じていただければ嬉しく思います。

修復後の音 7.ショパン
sound after restoration 7



修復前の音 7.ショパン
sound before restoration 7


2016年12月23日金曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音6(修復前の音との比較)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音をお聴きください。
今回は上手なピアニストさんに弾いていただく機会がありませんでしたので、
私の拙い演奏で申し訳ないのですが、
音色や雰囲気を感じていただければ嬉しく思います。

修復後の音 6.ベートーヴェン
sound after restoration 6



修復前の音 6.ベートーヴェン
sound before restauration 6

2016年12月22日木曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音5(修復前の音との比較)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音をお聴きください。
今回は上手なピアニストさんに弾いていただく機会がありませんでしたので、
私の拙い演奏で申し訳ないのですが、
音色や雰囲気を感じていただければ嬉しく思います。


修復後の音 5.モーツァルト
sound after restoration 5


修復前の音 5.モーツァルト
sound bafore restoration 5




2016年12月21日水曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音4(修復前の音との比較)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音をお聴きください。
今回は上手なピアニストさんに弾いていただく機会がありませんでしたので、
私の拙い演奏で申し訳ないのですが、
音色や雰囲気を感じていただければ嬉しく思います。


修復後の音 4.バッハ
sound after restoration 4

修復前の音 4.バッハ
sound before restoration

2016年12月20日火曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音3(修復前の音との比較)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音をお聴きください。

修復後の音 3.シャボン玉
sound after restoration 3

修復前の音 3.シャボン玉
sound before restoration3

2016年12月19日月曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音2(修復前の音との比較)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音をお聴きください。

修復後の音 2.さくら
sound after restoration 2

修復前の音 2.さくら
sound before restoration 2

2016年12月18日日曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 修復後の音1(修復前の音との比較)

1852年製PAPE コンソールピアノ
修復後の音をお聴きください。

修復後の音 1. 単音
sound after restoration



修復前の音 1.単音
sound before restoration





2016年12月17日土曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 完成写真4






1852年製PAPE コンソールピアノ
修復完成しました!
近日中に録音をアップする予定です。

2016年12月16日金曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 完成写真3







1852年製PAPE コンソールピアノ
修復が完成しました!
優しい音を奏でています。
近日中に録音をアップする予定です。

2016年12月15日木曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 完成写真2






1852年製PAPE コンソールピアノ
修復が完成しました!
とても優しい音を奏でています。
近日中に録音をアップ予定です。

2016年12月14日水曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 完成写真1






1852年製PAPE コンソールピアノ
修復が完成しました!
半年間忍耐強く待っていてくださった持ち主の元へ、もうすぐ帰ります。
クリスマスには、家族と一緒に歌えます!

2016年12月13日火曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 最終調整







1852年製PAPE コンソールピアノ
アクションの最終調整をしていたら、バックチェックワイヤーが一つ折れてしまいました。
最後までハプニングは続きます。
でもこういうことはあるものですし、お客さん宅でなく工房で折れるなら修理も簡単に済みます。
ワイヤーを取り替えて修理し、タッチの最終調整とペダルの調整をしました。
調律をして、自分で弾いてみて、タッチを改善して、という作業を納得がいくまで繰り返します。
特殊なアクションですから、マニュアルもなければ、大体こんなタッチを目指すというイメージもない中で、自分の出来る最高のタッチを探していきます。
1844年製PAPEのコンソールピアノで同じ形のアクションを経験した後でしたので戸惑いは少なかったものの、やはり全く同じようにはいかず、このピアノ独自のタッチを作りました。
まあまあ弾きやすいタッチが出来たと満足しています。
いよいよピアノの完成です!

2016年12月11日日曜日

1852年製パープ コンソールピアノ ケースの完成






1852年製PAPE コンソールピアノ
ケースの掃除、ニス塗りが全て終わり、外装の完成です。
譜面台の両側に付いていたはずの燭台は一つしか残っていません。
あちこちに傷があったり欠けていたり、歴史を経て色々な欠点は残っていますが、できる限りの掃除と修復をし、それなりにまとめました。
もちろん完璧ではありませんが、やはり昔の家具の素晴らしさ、そして歴史を生きてきた木が醸し出す風格を取り戻すことができたと思っています。

完成までもう少し、まだアクションの最終仕上げが残っています。

2016年12月9日金曜日

1852年製パープ コンソールピアノ ジャックスプリングやり直し






1852年製PAPE コンソールピアノ
タッチの調整をしていて、強すぎるジャックスプリングの強さをどうしても調整できず雑音が出てしまうので、スプリングを取り替えることにしました。
いつもながら、やり直しです。
最初からぴったりしたものを選べなかったことと、1セットのスプリングを無駄にしたことは残念ですが、仕方がないことと思い、再度解体して全部取り替えました。
雑音はなくなり、連打もまあまあ出来る強さのスプリングを取り付けることができ、満足です。

2016年12月7日水曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 鍵盤蓋5







1852年製PAPE コンソールピアノ
4ピースの鍵盤蓋にニスを塗り、磨いた金具を取り付けて、再度組み立てました。
鍵盤蓋の完成です。

2016年12月5日月曜日

1852年製パープ コンソールピアノ 鍵盤蓋4








1852年製PAPE コンソールピアノ
鍵盤蓋3ピース目と4ピース目の裏も掃除をし、両側のブロックとの接続をする金具もきれいに磨きました。
また、楽譜が立つように工夫して付けられている小さな木片は糊がはがれていましたので、掃除をしてニスを塗った後、糊付けしました。