フランス・パリのピアノ修復工房で10年半働き、帰国して東京で仕事を始めたピアノ調律師です。 パリで知った戦前のフランスピアノの魅力を日本の皆様にもお伝えしたいと考えています。 このブログでは、ピアノ調律師として、修復師として、また一人の人としての日々の活動をご紹介していきます。
2018年12月24日月曜日
1908年製エラール 平行弦グランド アクション整調6
1908年製ERARD 平行弦グランド 1m85
調整を進め、だんだん弾きやすくはなってきたのですが、タッチがまだ決まりません。
もう少し良いタッチが得られるのではないかと、様々な寸法を試してみているのですが、これだ!というところへ落ちないのです。
昔のピアノの調整にはマニュアルがありませんし、部品の傷みなどのため完璧には揃わないので、程よい具合のところを探しながら、タッチを決めていきます。
アクションはたくさんの部品の集まりですから、みんなで共同作業をしてタッチを作っているわけですが、それらのバランスがとても大切です。
あっちを変えればこっちも変わるという具合なので、全体を見ながらバランスの良いところを見つけなければなりません。
最終的に決まるまで、もう少し時間がかかりそうなので、来年に持ち越しとなりました。
タッチには問題があるのですが、日々驚きを感じているのは、このピアノの音色です。
ちょっとびっくりするくらい、素晴らしい音がします。
ただ軽く弾いているだけで、するすると音楽になっていきます。
ピアノが勝手に歌うのです。
良い音を出そうと思わなくても、良い音が出ます。
小さな音も美しいのは、響きが多いからだと思います。
また、音の交わりが感動的に美しいと思います。
今まで何台か同じモデルのピアノを修復しましたが、こんな経験は初めてだなあ、と思っています。
来年の完成をお楽しみに!
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