フランス・パリのピアノ修復工房で10年半働き、帰国して東京で仕事を始めたピアノ調律師です。 パリで知った戦前のフランスピアノの魅力を日本の皆様にもお伝えしたいと考えています。 このブログでは、ピアノ調律師として、修復師として、また一人の人としての日々の活動をご紹介していきます。
2018年6月1日金曜日
1838年製プレイエル ピアニーノ 第一声
1838年製PLEYEL pianino 1m15(ショパン時代のプレイエル)
ようやくアクションが組み上がり、まともに調律できる状態になりました。
まだまだ多くの調整が必要であり、本来の音を出せてはいないのですが、
ともかく第一声を聴くことができました。
第一印象では、天使の声?と思いました。
ちょっと弾いてみると、天上の音楽に聴こえます。
これは今までにない体験でした。
このピアノは今年180歳。
今までに修復した1850年頃のプレイエル・ピアニーノとも全然違いました。
これはもう、プレイエルの音とかショパン時代の音とか、そういうこととも全く違うように感じました。
180歳のピアノの声なのだと思います。
160歳のピアノと180歳のピアノとでは、全然違うのだなあと、驚きました。
人間で言うと、同じ高齢でも90歳の人と110歳の人では全然違う、というようなものでしょうか。
全てを超越したような音だと思います。
パワーはもうありません。体力的な弱さもあります。
響きだけで歌っているような、そんな感じです。
今のところは第一印象だけですが、もう少し調整を続けて、本来の音を探っていきたいと思っています。
もしこのピアノを買ってくださる方がいるとしたら、このピアノの素晴らしさと脆さの両面を理解して付き合ってくださる方でなければならないと思っています。
皆様に弾いていただける段階になりましたら、またお知らせいたします。
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