フランス・パリのピアノ修復工房で10年半働き、帰国して東京で仕事を始めたピアノ調律師です。 パリで知った戦前のフランスピアノの魅力を日本の皆様にもお伝えしたいと考えています。 このブログでは、ピアノ調律師として、修復師として、また一人の人としての日々の活動をご紹介していきます。
2017年6月11日日曜日
1908年製エラール 平行弦 解体2
1908年製ERARD 平行弦 1m85
エラールの平行弦のピアノは、解体が大変です。
鉄のバーと板の組み合わせ鉄骨を外すのに、いつでも一苦労も二苦労もします。
鉄のバーは3本のタイプと5本のタイプがあり、今回は3本のタイプですが、3本ともケースに埋め込まれてビス留め+糊付けされているので、ケースを壊してバーを取り出さなければなりません。
修復後には元通りバーを埋め込み、化粧板も貼り直さなければなりません。
エラールは、100年経っても修復の必要のないくらい頑丈なピアノを作るというつもりで製作をしたそうです。
確かに、他のどのメーカーよりも頑丈に、しっかりと作られていると思います。
100年経たないうちに修復が必要になってしまったのが現状ですが、それは当時のエラールも想像できないほど、人々の生活が変化したことによるものです。
暖房器具が変化し、家の気密性も高くなり、過乾燥により響板が割れたりチューニングピンが緩んだりしました。
100年前のヨーロッパの、薪を使った暖炉の生活、適度に湿度を保っていた石造りの家の生活をもし続けていたとしたら、エラールは修復を必要としなかったのかもしれません。
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