2014年10月19日日曜日

パープの歴史 その6

 
 1845年PAPEによるデッサン
'NOTICE SUR LES INVENTIONS ET LES PERFECTIONNEMENTS DE H.PAPE '
(Gallica.bnf.fr/Bibliothèque nationale de Franceより) 
 
 
ジャン・アンリ・パープが行った仕事について、もう少しお話しします。
彼は他の人が考え付かないようなピアノを考案し、実際に製作しました。
彼がこだわったのは、ブルジョワ階級のパリのアパートに楽に収まる小さなサイズのピアノで、おしゃれな家具調のもの、エレガントさとファンタジックさを備えることが重要で、しかもピアノとしての機能を落とさない質の高い楽器、というものでした。
スクエアピアノ、テーブル型ピアノ、アップライトピアノ、中でも特に変わっているのは、楕円形ピアノや丸テーブル型ピアノ、六角形のテーブル型ピアノ、そして半球型ピアノ!
半球型ピアノというのは、ティンパニーのような恰好をしているらしく、たぶん商品化は無理だっただろうと思われますが、1836年に特許を申請しています。
 
また、弦のないピアノにもかなりこだわり、研究していました。
弦があると音が狂ったり切れたりするためメンテナンスが必要となる、もっと安易に楽に使えるピアノができないか。
彼は弦の代わりに金属片を用いて音を出す方法を考えました。
しかし中音や高音では満足のいく音を出すことができたようです(ハープに似た音だそうです)が、どうしても低音の深みを出すことができなかったそうです。
またオルガンのように風を送り、リードを震わせて音を出すやり方も付け加えました。
色々に試行錯誤していましたが、これも商品化は無理だったでしょうか。
弦のないピアノ、メンテナンスの不要なピアノ、という発想は、現代の電子ピアノにも通じるところがあるかもしれないと言っている人がいます。
たぶん彼の考えはこの時代には受け入れられなかったでしょうが、もしかしたら現代の私達の方が理解できるところがあるのかもしれません。
 
参考資料:'NOTICE SUR LES INVENTIONS ET LES PERFECTIONNEMENTS DE H.PAPE '(1845)

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