2014年9月16日火曜日

1911年製エラール シェラトンスタイル




 

 
 

 
1911年製エラール 平行弦のグランドピアノ 1m85 シェラトンスタイル
 
実にエレガントなこのシェラトンスタイルというのは、
18世紀後半から19世紀始めにかけてイギリスで家具デザイナーとして独自のスタイルを確立したトーマス・シェラトン(1751-1806)の様式をいいます。
直線を多く使い、無駄のない簡素なデザインのシェラトンスタイルは、
彼の死後もヨーロッパで人気を博し、ピアノのデザインにも採用されました。
 
このエラールが作られた1911年頃にも、
シェラトンスタイルの家具を好む愛好家たちが存在し、我が家の家具にぴったり合うシェラトンスタイルのピアノを求めた、という想像は容易にできます。
 
昔のヨーロッパ人にとって、ピアノは楽器というだけでなく、家具の一部でもありました。
家の中に存在するものですから、他の家具と調和しなければなりません。
それと似たような意味で、音楽もまた生活の一部であり、特別なものではありませんでした。
現代の私達にとって、家具と音楽、といえば全く別もののように思えますが、昔はそうではなかったのです。
その人その人が私生活の中に求める趣が、家具として実現され、音楽として実現され、他にも絵画や建築や食事や色々な場面に実現されたであろうものたちが、
全体として調和していることもまた、大切なことだったのだろうと思うのです。

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