1905年製エラール
1905年製プレイエル
エラールとプレイエルの違いについての考察はこれで終わります。
19世紀にエラールやプレイエルが必死になってやっていた競争は、「個性の戦い」「こだわりの戦い」とも言えると思います。
その競争の中でピアノという製品の質を高め、たくさんの良いピアノ、個性的なピアノを生み出してきました。
どちらが一番、ということのない世界。「違い」が存在するということ。
今は、そのような戦いは見られなくなりました。
個性を尊重し主張する人は、個人レベルで細々と活動を続けることはありますが、エラールやプレイエルがやっていたような企業レベルでは難しくなりました。
それほど社会が均一化され、人々が同じものを求めるようになり、一番を決めたがり、違いが認められない。
こだわってピアノを作ってきたエラールもプレイエルも、最後は世界的な競争に負けて消えていきました。
これでいいのでしょうか?
19世紀のもの作りの精神から私たちが学ぶことがあるのではないでしょうか?
昔作られた個性的な良いピアノたちは、ヨーロッパでも時代遅れとなり次々に捨てられています。
修復にもお金がかかり、保存にもお金がかかるため、やむを得ない事情です。
私が修復できるピアノの数は一生にほんの数台で、ピアノを救うとも世の中に対して何か主張できるとも言えないレベルでしかないのですが、できる限りこの細々とした活動を続けていこうと思っています。
終わり。
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