エラール
プレイエル
フランスピアノの2大老舗であるエラールとプレイエル、
何台も修復を経験する中で、この2つのメーカーの個性の違いは何だろう、ということをよく考えさせられます。
同じフランス的な雰囲気を持ちながら、2つの個性は確かに全く違い、当然弾く人の好みも分かれます。
歴史的にも、2つのメーカーは競い合い、それぞれの個性を主張し合ってきました。
どちらが一番ということのない、個性の戦いというのは面白いものだなあと思います。
私はずっと漠然とした違いを感じていただけで、はっきりと言葉には表せなかったのですが、
この頃頭の中で少しずつクリアになってきたように思っています。
それはたぶん、自分一人ですべての修復を行った経験によってまとまってきたイメージと、
資料を読むことによって言葉にする助けを得たことのおかげです。
一台のプレイエル、一台のエラールと正面から向き合い、とことん付き合って最後まで修復を完成させたこと、
それはつまり楽器とお話し、100年、150年前に真剣になって楽器を作っていた製作者とお話したということだと思っています。
昔の楽器の修復はそのような意味でとても楽しい仕事です。
今後も、自分の感性を磨くことでより深く先人たちとお話できることを目指しています。
私の感じている2つの個性ですが、最終的には立体感覚的なイメージとなりました。
エラールは建築物のように立体的、オーケストラのように構成された音の集まりにより、幅広く深い世界観を表現すべく作られたピアノ。
プレイエルはどこまでも横に長く歌い続けるソロの歌手のような性格、耳に優しく柔らかい声で歌うソリストの背景に印象派の絵のような雰囲気を添える伴奏が付き、人の感情を表現するために作られたピアノ。
そんな風なイメージが今私の中で出来てきました。
ただしあくまでも個人的な見解ですので、皆様にはご自由に感じていただきたいと思っています。
続く。
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