2014年10月21日火曜日

パープの歴史 その7

8オクターブのピアノ
1845年PAPEによるデッサン
'NOTICE SUR LES INVENTIONS ET LES PERFECTIONNEMENTS DE H.PAPE '
(Gallica.bnf.fr/Bibliothèque nationale de Franceより) 
 
 
驚いたことに、パープはこの時代に8オクターブ(97鍵)のピアノを製作しました。
彼は、8オクターブというスケールの広さに意味があるというより、ピアノ全体の音量を増大するために有効だと考えて作ったようです。
M.Fétisは1844年に音楽雑誌の中で、このようなエネルギーを持った楽器を今までに見たことがない、と言っています。
当時パリで、このパープの8オクターブのピアノを2台並べ、4人のピアニストが8手のための曲を演奏したそうですが、これまでに経験したことのない感動を受けたとM.Fétisは言っています。
しかも、「この大迫力にも関わらず、個々の音は明確で透明さを持ち、速いパッセージにおいてもすべての音がはっきりと発音していた」そうです。
 
また、小さいピアノとしては、高さ87cmのアップライトピアノを製作しました。
サロンコンサートでアップライトピアノを使う時、演奏者が聴衆からも見えるようにとの考えもあったようです。
小さなピアノが求められ、1842年には客船用のピアノの注文を複数受け、1台750フランの契約で製作したそうです。 
 
こうして様々な形のピアノを考案したパープですが、大きなピアノでも小さなピアノでも一貫してこだわったことは、小さくても音量を失わないこと、丈夫で長持ちすること、そして複雑なアクションの簡素化でした。
簡素化の考え方には、価格を抑えたピアノを作りたいという希望もありました。
ピアノを、お金持ちだけでなくみんなのものにしたい、というパープの思いがありました。
ただし質は落としてはいけない、そこで考えに考え抜くのでした。
 
 
参考資料:'NOTICE SUR LES INVENTIONS ET LES PERFECTIONNEMENTS DE H.PAPE '(1845)

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