2020年10月16日金曜日

ポストショパン時代のエラール VS プレイエル 同時修復開始

1857年製エラール

1860年製プレイエル


1857年製ERARD モデル2 グランドピアノ2m12
1860年製PLEYEL モデルPetit Patron グランドピアノ 2m20
同時修復を開始します。

たまたま同時に手に入ったポストショパン時代の2台のグランドピアノの修復を、比較しながら同時に修復してみたいと考えました。
19世紀の前半から半ば頃にかけて、当時のピアノ製造界は良いピアノを作ろうとメーカーが必死になって模索し続け、ピアノが急速に発展していった時代でした。
フランスでは小さな会社も含めるとたくさんのピアノメーカーが存在していましたが、とりわけ2大メーカーのエラールとプレイエルが競い合っていました。
ショパンがプレイエルを、リストはエラールを好み、それぞれメーカーと一緒になってピアノを発展させ、また世に普及させていきました。

ショパンが亡くなったのは1849年。
ショパンが生きていた時代のピアノを「ショパン時代のピアノ」ショパンが亡くなった後の時代のピアノを「ポストショパン時代のピアノ」と呼んでいます。
ショパンがどんなピアノで作曲したのかを知りたい、ショパンが弾いていたピアノと同時代のピアノで弾いてみたい、という好奇心は世界的なものですが、ショパン時代のピアノは元々製造数が少ない上、今も残っている楽器、その中でも良い状態で保存されている楽器というのは非常に少なく、また売りに出されても高額ですので、簡単に手に入るものではありません。
しかしポストショパン時代のピアノは、それよりはまだ手に入りやすいため、私のところにもやってきました。
ショパンマニアの方は、ショパン時代でなければ意味がないと言うかもしれません。
でも、ポストショパン時代のピアノというのは、ショパン時代のピアノの発展形であり、ショパンが望んでいたピアノが実現した面もあったかも知れず、とても興味深い時代だと、私は思っています。
さらに時代が進むと、ピアノがモダン化され、1900年頃にはショパン時代の楽器とはまた違ったものになっていきます。

ショパンが求めたピアノはどんな楽器だったのか、リストが必要としていたピアノはどんなものだったのか、プレイエルとエラールはそれぞれどんな特色を出そうとしていたのか、このポストショパン時代の2台のピアノを、修復を通して比較することで何かが分かるような気がしています。

ちょっとマニアックな記事になりますが、ご興味のある方はどうぞご覧ください。

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