2020年9月29日火曜日

1911年製ニューヨークスタインウェイ 整音





1911年製STEINWAY & SONS グランドピアノ1m80
音程も安定してきて、タッチも揃ってきました。
最後の仕上げは整音作業です。
まずは、ハンマーが3本の弦に完璧にまっすぐ当たっているかを見ます。
ハンマーを持ち上げて弦に軽く触れた状態で、ダンパーを上げながら弦を指で弾いて音を聴きます。
ハンマーが3本の弦に完璧にまっすぐ当たっていないと音の聴こえ方が異なります。
その場合、ハンマーが傾いていれば微妙に頂点を削って揃え、弦の方が平らでないようなら少し弦を引っ張り上げて揃えます。
全部のハンマーの当たりが揃ったら、今度は全体を通して音を聴いて、調和しない音があればハンマーに針を刺して揃えます。
非常に微妙な作業ですが、ちょっとのことで音色はずいぶん変わります。
工房での整音作業はここまでですが、最終的には納品先でお部屋の響きを聴きながら、またお客様のご希望を踏まえながら、仕上げを完成させます。

4 件のコメント:

  1. なるほど、実際のハンマー当たり加減を弦1本ずつ耳でチェックできるのですね。この作業は国内調律師さんではわりと一般的にされていますでしょうか?うちのピアノの次高音ドの音がどうしても何か3本ストレートに当たって無いような気がして、まだるっこしくてイライラします。中を開けて覗いたりもするのですが、特に見た感じでは、ずれたり弦溝にばらつきのある様子もなく・・。調律師さんに言ってみるのですが、あまり理解してもらえないです。

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  2. ハンマーは、使っていくうちに弦の溝がつきフェルトがすり減ってきます。すでにすり減ってしまったハンマーにこの作業はできません。この作業は、新しいハンマー、またはファイリングされて再度整えられたハンマーに対して行います。
    通常はオーバーホールやアクション全体の修理をする際に仕上げとして行いますので、1本のハンマーだけに行うことはあまりありませんが、気になる音があるようなら当たりをチェックしてもらっても良いとは思います。ただ、ハンマーがまっすぐに動いているかの走り調整なども同時に見なければならず、1本だけの調整にどのくらい意味があるのかは分かりません。
    どんな風にその音が気になるのか、調律師さんによく説明して改善を試みてもらってくださいね。

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  3. 詳しくお返事いただき、ありがとうございました。単に当たり具合の話だけではなく、ハンマーが斜めに運動して当たっていないかとか、色々難しいのですね。ようは高音が鳴ってはいるのですが、テンションが掛かって弦の芯から鳴ってる感じがしないというか、ハンマーの打撃に対して鉄骨やボディがふぁん、と共鳴して響いているだけ、みたいな。素人の耳感覚を説明するのも実は恐ろしく難しいかもですが、粘り強く説明してみますね。ありがとうございます。

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  4. そうですね。音の聴こえ具合は人により様々ですし、それを説明するのは難しいですよね。演奏者も調律師も、お互い神経質になり過ぎないようにしながら、ピアノの音色を納得のいくものにしていければ、一番良いと思います。

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